ベルリンの混沌を文章にした本『百年の散歩』著:多和田葉子。

「返却日を過ぎている」と図書館から連絡が来て、たったの4冊しか貸してくれない上に貸出期間がこんなに短いなんて、などと思ったけれど、図書館自体が小さいのだから仕方がないのかも、と思い直しました。

それにこちらの普通の図書館は延滞すると問答無用でお金を取られるのだけれども、それに比べたらメールで注意されるだけなんて親切なことだし。

 

年々本を読むスピードが落ちている気がします。

本をちゃんと読むようになったからか、本自体を読まないせいなのか。

 

特にこの本『百年の散歩』は読み終えられるのか不安になりました。

読み始めた本はできるかぎり読み終えたい。けれど、中々読み進められない。

 

昔読んだ同じくらい読みにくい本、『未明の闘争』を思い出しました。

 

最後まで読み切らないまま返しちゃおう、3回くらいそう思ったけれど、やっぱり読み切ることにしたのはこの本の舞台がベルリンだったからです。

 

主人公の女性が誰かを待ちながらベルリンのあちこちを散策しているだけの話で、彼女の思考が延々と羅列されている本なのですが、誰かの思考を読むってすごく骨が折れることなのだと思いました。

 

彼女が待っている人についてはほとんど明らかにならず、彼女はその人を待っていると言いつつベルリンを歩き回り、人やものや景色を独特な視点で文章化していきます。

 

ドイツ語で遊んでいたりするところや、私のよく知っているところが書かれている部分は興味深く読みました。

 

読んだ後街に出たとき、この本の文体みたいな思考で景色を見ている自分がいて少しおかしくなったり。

 

特にストーリーらしいストーリーがあるわけではなく、ベルリンの雑踏を拾ってきて上手く本にしたような本なのですが、ところどころ反戦メッセージが込められているのかな?と思うような部分があったりもしました。

 

特におすすめはしないけれど、ベルリンの雰囲気を知るには良い本かもしれません。